推奨馬
・エゾダイモン(牡)
∟父:ハーツクライ
∟母:メジロツボネ
∟生産:レイクヴィラファーム
∟厩舎:武幸四郎厩舎
∟馬主:藤田 晋
今回はウマ娘で有名な藤田晋オーナーのハーツクライ産駒、エゾダイモン(メジロツボネの2020)についてPOG2022-2023期間のPOG推奨馬として各種解説していきます。
藤田晋オーナーの所有馬については過去以下記事で取り上げております。
どれも良い馬ばかりであります。特に目をひくのが馬体です。好馬体の馬が多く活躍が期待出来ます。
その中でも特に今回のエゾダイモン(メジロツボネの2020)は注目度も高く、各種報道でも評価は非常に高い印象を受けます。理由の一つとして海外G1を勝利したディープインパクト産駒のグローリーヴェイズを兄弟に持っていることが挙げられます。
グローリーヴェイズは素晴らしい馬です。香港ヴァーズ(G1)を2勝、国内重賞2勝、天皇賞春(G1)2着の成績であります。
ただ今回考えなくてはならないのが「エゾダイモン(メジロツボネの2020)はPOG馬としての価値があるのか」であります。後ほど詳細を記載しますがグローリーヴェイズはPOG期間はあまり活躍しておらず、きさらぎ賞(GⅢ)で3着のみ。大きな活躍は古馬になってからです。
エゾダイモン(メジロツボネの2020)はセレクトセール2021年1歳馬セッションで1億8150万円で取引された馬です。更には2022年5月現在の情報として早期入厩、早期デビューの報道もあり、POG馬としての人気は相当なものになると予想されます。
ただここは冷静になり、本当にPOG馬として価値があるのか確認したいと思います。各種データからエゾダイモン(メジロツボネの2020)は推奨点と懸念点が入り混じる馬だと考えます。早速確認していきましょう。
馬体
エゾダイモン(メジロツボネの2020)の1歳時馬体
これがエゾダイモン(メジロツボネの2020)の1歳時馬体です。
これは見た目が良いです。若干胴の長さが短いようにも思えますが立ち気味の首は長さも良く、また前足の付け根における筋肉のつき方も綺麗であります。
それからトモです。かなり迫力があります。足の付け根の方にまで伸びていること、またその力強さからか筋が浮だってみえるほどであります。セレクトセール馬ですので測尺がないのが残念ではありますが、この足の太さからして管囲及び各種測尺も良い数値が出ているものと考えます。
兄弟比較
ここで比較したいのがグローリーヴェイズとの同時期馬体との比較です。父はディープインパクトということで異なりますが確認することとしましょう。
◾️グローリーヴェイズ
馬体の基本構造や全体のバランスについて、グローリーヴェイズとエゾダイモン(メジロツボネの2020)はほぼ同じであることが分かります。
ただ筋肉のつき方で見ると。明らかにエゾダイモン(メジロツボネの2020)がグローリーヴェイズを圧倒しております。グローリーヴェイズも悪くありません。ただエゾダイモン(メジロツボネの2020)はトモを中心とした全体的な筋肉質な馬体がその迫力を押し出す結果となっています。
他ハーツクライ産駒1歳時の馬体比較
以下記事で比較していきます。
ハーツクライ産駒の活躍馬は基本馬体構造になかなか共通項が見出しづらいため何とも言えない所でありますが、エゾダイモン(メジロツボネの2020)は見劣りしないことは間違いないと思います。
ただこの記事に記載のあるハーツクライ産駒としてPOG期間にG1戦線で活躍しているサリオス、リスグラシューといった馬と比べると、エゾダイモン(メジロツボネの2020)はもう一つ迫力が欲しいということは思わざるを得ません。とはいえ、この点は懸念は不要かと考えます。
血統
エゾダイモン(メジロツボネの2020)の血統表
∟父母間クロス:Lyphard4×5
エゾダイモン(メジロツボネの2020)は父母間でLyphard(リファール)クロスがあります。これは非常に良いです。血統構成として父母間LyphardクロスがPOG期間としての絶大な威力を有することは以下記事でまとめております。
父母間Lyphardクロスが成立し活躍しているハーツクライ産駒は朝日杯フューチュリティステークス(G1)を勝ったドウデュースがいます。
またリスグラシューも父母間Lyphardクロスですし、2022年の共同通信杯を勝ったダノンベルーガも6代目以降ではありますが父母間Lyphardクロスの血統構成となっています。
ただ父母間Lyphardクロスは「ただ父母間Lyphardクロスが成立していれば良いということではなく、他の各種推奨条件を後押しするもの」という事で認識せねばならないと思っております。
ということでエゾダイモン(メジロツボネの2020)がハーツクライ産駒として血統成功条件をどの程度満たしているのか確認していきましょう。
ハーツクライ産駒血統成功条件との比較
先に条件を記載しておきます。過去POG期間に活躍したハーツクライ産駒の血統構成として共通していたものであります。
①父母間でNorthen Dancerクロスがある
②母方にRoberto配合がある(その流れ、もしくは別路線で父母間Hail to Reasonクロスが成立することもあり)
③母方にSadler’s Wells配合がある
④母方にMr. Prospector配合がある
⑤母方にNinisk配合がある(Lomitasからの流れが最高)
⑥母方にNijinsky配合がある(⑤からの流れの場合は最高)
⑦母方にStorm cat配合がある
⑧母方にDanzigの配合がある
⑨父母間でLyphardクロスがある
⑩母方にSeattle Slew配合がある
エゾダイモン(メジロツボネの2020)はというと、この条件の①④⑨に該当。若干弱いという印象です。
もしこの上でSeattle SlewやSadler’s Wells、Nijinsky等々の配合があれば良かったのですがそういったものが一切ないのです。父母間Lyphardクロスが成立している血統構成の点は非常に良い事ですが、他の基本血統構成が弱い点は否めません。懸念するほどではないかもしれませんが、血統構成は若干弱いことは頭に入れておいた方が良いと考えます。
その他要素
エゾダイモン(メジロツボネの2020)がPOG馬として推奨に値するか更に確認を進めていきます。
①生まれ月
以下表をご覧下さい。
これはエゾダイモン(メジロツボネの2020)の母メジロツボネが産んだ馬の一覧です。注目頂きたいのが誕生日と成績の相関関係です。
母メジロツボネの子は誕生日が早いか遅いかでPOG期間の活躍にかなり差が出てきます。例えば同じディープインパクト産駒比較でグローリーヴェイズとハナビマンカイですが、この2頭は明らかに活躍具合に差があります。ここでいう「活躍」という意味はあくまでPOGまくれーんとしての個人主観によるものですがとにかく誕生日が早い方が活躍しています。エゾダイモン(メジロツボネの2020)ですが、1月30日生まれと、これまでで最も早い誕生日となっておりこの点は期待できると思います。
②レイクヴィラファーム生産馬という点
この要素は先ほどまでの内容とは打って変わって懸念点であります。
レイクヴィラファーム生産馬のPOG期間活躍馬ですが、過去2019年産駒までで240頭近く存在する中でこの6頭のみが重賞戦線で活躍した馬であります。
うち4頭がPOG期間で重賞勝利。あのグローリーヴェイズさえもPOG期間は重賞勝利には至っておりません。POG期間G1競争の3着内馬も全くおりません。
この点は相当な懸念点であると考えます。例えば過去ノーザンファーム生産馬の兄弟がレイクヴィラファーム生産馬に変わると状況が一変する例を何度か見てきました。例えばアリストテレスとソクラテスです。父が違いますので比較すべきではないかもしれませんがアリストテレスはノーザンファーム生産馬で特別競走でも活躍、ソクラテスは未勝利戦を勝ち上がるだけでやっとの状態。
POG馬としてレイクヴィラファーム生産馬を選択するのはリスクがあります。
まとめ
ここまでの要素をまとめると以下の通りとなります。
・馬体は推奨に値する。同時期のグローリーヴェイズを凌ぐもの。ハーツクライ産駒としても懸念は無し(ただし過去POG期間でG1競争で活躍したハーツクライ産駒には見劣る)
・血統構成は父母間Lyphardクロスが成立しており推奨に値する。ハーツクライ産駒血統成功条件も該当あり(ただし該当数が少ない)
・誕生日が早いことが推奨に値する。母メジロツボネの産んだ馬たちは誕生日が早い方が活躍している傾向にある
・レイクヴィラファーム生産馬はPOG期間に重賞戦線で活躍しづらい傾向にあり懸念事項である
以上です。
管理する武幸四郎厩舎ですが2022年桜花賞(G1)にてウォーターナビレラが2着に入るなど活躍し始めております。この点は嬉しい所です。
各種推奨点と懸念点を踏まえると、エゾダイモン(メジロツボネの2020)をPOG選定するにあたりこれでいわゆる過剰な大当たりを期待するのは避けたほうが良いと考えます。
POGは総合力が大事です。エゾダイモン(メジロツボネの2020)はPOG馬としてある程度の戦力にはなるかと思いますが、他有力馬で足固めし臨むべきです。
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