推奨馬
・フローレスビート(牡)
∟父:モーリス
∟母:フローレスダンサー
∟生産:社台ファーム
∟厩舎:田中博康厩舎
∟ 馬主:社台サラブレッドクラブ
社台サラブレッドクラブのモーリス産駒の紹介です。社台サラブレッドクラブは2022年桜花賞にてスターズオンアースが優勝。不振だったドゥラメンテ産駒を見事クラシック制覇に導く「偉業」を成し遂げました。ノーザンファームでも出来なかった事をドゥラメンテ産駒デビュー2年目で成し遂げるわけですので素晴らしいと思います。
本日紹介するフローレスビート(フローレスダンサーの2020)ですが、母母にはあの桜花賞馬ダンスインザムードの配合がある馬です。
ダンスインザムード自体の繁殖牝馬としての能力ですがPOG期間で言えば君子蘭賞を勝ったカイザーバル(エンパイアメーカー産駒)、フェアリーステークス(GⅢ)を勝ったダンスファンタジア(ファルブラヴ産駒)でしょう。
ダンスインザムードはこれ以外には活躍する馬を輩出出来ておらず重賞制覇馬は先ほど記載しましたダンスファンタジアのみです。
母フローレスダンサーについて
母フローレスダンサーはハービンジャー産駒です。ダンスインザムードとの配合で生まれました。POG期間は新馬戦1勝のみ。その様子を見てみましょう。
最後なかなか良い追い込みをする母です。その後はアルテミスステークス(GⅢ)4着、京都2歳ステークス(GⅢ)4着、と惜しい競馬の連続でした。ルメール騎手、川田騎手などを配しての参戦であり当時の注目度も高かったものと思われます。
フローレスビートは推奨点と懸念点の入り混じる馬です。ただし社台サラブレッドクラブ2020年産駒の中でも注目すべき馬と考えます。それでは解説していきます。
馬体・測尺
フローレスビート(フローレスダンサーの2020)の1歳時馬体
良い馬体です。なかなか言葉にするのが難しいですが「迫力」や「力強さ」を感じます。全体的に筋肉の筋が浮き立っていて力強さが全面に押し出されています。前足の付け根部分も筋が浮き立っています。前に出ている筋肉も良く、腹回りからトモにかけての胴の長さと線自体も良いです。
ただ「良い」というのは一般的な馬体の見栄えからの評価であって、モーリス産駒として良いかは別です。
以下記事に記載しているモーリス産駒活躍馬の馬体をご覧下さい。
この記事に記載している全てのモーリス産駒活躍馬に共通する事項として、「全体的にボリュームがすごいこと」、「筋肉の筋が浮立つのではなく筋肉が盛り上がっている」この2点が言えます。
その点、フローレスビート(フローレスダンサーの2020)は異質です。あまりモーリス産駒というのはこういった馬体にはなりません。
参考までに同時期の母フローレスダンサーの馬体を見ていきましょう。
◾️母フローレスダンサー
母フローレスダンサーもなかなかいい馬体をしています。フローレスビート(フローレスビート)の胴の長さはこの母の血も感じさせる所です。
先ほども記載したフローレスビート(フローレスダンサーの2020)のモーリス産駒としての馬体の異質さについての良し悪しの結論は出せません。活躍していないモーリス産駒の馬体と比較すると、活躍していないモーリスは迫力がありませんでした。フローレスビート(フローレスダンサーの2020)の馬体には迫力がある。これをどう見るか。非常に難しいところです。次項以降に述べる内容も踏まえて総合的にご判断頂きたい所であります。
測尺
フローレスビート(フローレスダンサーの2020)と他モーリス産駒活躍馬と測尺比較を行います。
◾️フローレスビート(フローレスダンサーの2020)
・体高:156.0 ・管囲:21.0
・胸囲:173.0 ・体重:422
◾️ピクシーナイト
・体高:154.0 ・管囲:21.6
・胸囲:173.0 ・体重:450
◾️ストゥーティ
・体高:149.0 ・管囲:20.0
・胸囲:170.5 ・体重:406
◾️アルビージャ
・体高:157.0 ・管囲:20.0
・胸囲:176.5 ・体重:414
◾️テンバガー
・体高:155.5 ・管囲:21.0
・胸囲:173.5 ・体重:457
管囲、胸囲、体高、体重とも全く問題ありません。測尺は全て推奨に値すると考えます。
ただ無理やり懸念を上げるとすれば「馬体重」かと思います。422kgは全く悪くありません。ただ管囲、胸囲、体高がほぼ同値であるピクシーナイトと比較すると馬体重が30kg近く差があります。この差が前項で述べた異質さなのかという事にも感じます。
測尺は値としては推奨の域ではありますが、最終判断は2歳時馬体の確認をしてからが良いかもしれません。
血統
フローレスビート(フローレスダンサーの2020)の血統表
∟父母間クロス:サンデーサイレンス4×3、Danzig5×5、Northen Dancer5×5
これがフローレスビート(フローレスダンサーの2020)の血統表です。実はフローレスビート(フローレスダンサーの2020)は血統構成面でも推奨と懸念が入り混じっていると考えております。1つずつ解説していきます。
【懸念点】父モーリス×母父ハービンジャー産駒の不振
フローレスビート(フローレスダンサーの2020)の血統構成の最大の特徴とも言える、「父モーリス×母父ハービンジャー」ですが、現時点で結果を残せておりません。該当馬は過去2頭おりレーヌデゼトワール(ノーザンファーム生産)とセレニティーアスク(社台ファーム生産)がそれにあたります。
この懸念についてどう払拭するのか。この点について色々考えましたが結論としては母フローレスダンサーの繁殖牝馬としての能力で何とか説明が付くのではと思っています。先ほど述べたセレニティーアスクはその兄弟も全て走っておりません。レーヌデゼトワールはまだ初子であるためこの比較が出来ませんが母フローレスダンサーは過去POG期間中にプリンスパルステークスを勝ったバジオウ(ルーラーシップ産駒)を産んでおります。
また「母父ハービンジャー」という部分だけ切り取ると、この血統構成は今後トレンド化する可能性があると思っております。有名どころとしてはミッキーアイル産駒のメイケイエール、ドゥラメンテ産駒のドゥラドーレスなどが登場しており先ほど記載した兄弟馬バジオウ含め今後伸びていく構成とも考えます。
血統構成の懸念があることは認めつつ、ここは繁殖牝馬としての母フローレスダンサーの力を信じる価値はあると思っております。
【推奨点】モーリス産駒としての基本血統構成
前項懸念と称したハービンジャーの配合の部分のおかげでもありますが、フローレスビート(フローレスダンサーの2020)の血統構成は非常に良いです。以下活躍馬の血統表を掲載します。
◾️ルークズネスト
似たような血統構成としてPOG期間中にファルコンステークス(GⅢ)を勝ったルークズネストがおります。母父ディープインパクトと流れは異なるもののDanzig配合は共通。
またフローレスビート(フローレスダンサーの2020)はハービンジャーの配合があるために6台目にLyphard(リファール)の構成があります。つまりフローレスビート(フローレスダンサーの2020)のはLyphard5×6の構成なのです。
父母間Lyphardクロスの威力は以下記載の通りです。
以上です。
推奨馬として記事は書きましたが推奨しきれていないような文章構成になってしまいました。血統構成面ではまだ未知の部分が多く、期待と不安が入り混じるものです。
兄であるバジオウが見せたような力をフローレスビート(フローレスダンサーの2020)が発揮することに期待しております。
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