推奨馬
・サトノグランツ(牡)
∟父:サトノダイヤモンド
∟母:チェリーコレクト
∟生産:ノーザンファーム
∟厩舎:友道康夫厩舎
∟馬主:サトミホースカンパニー
今回は、サトノダイヤモンド産駒のサトノグランツ(チェリーコレクトの2020)をPOG2022-2023期間の推奨馬推奨馬として紹介致します。
サトノダイヤモンド産駒ですがPOGまくれーんブログで取り上げるのは初めてです。
サトノダイヤモンドは2013年セレクトセール当歳馬セッションにおいて2億4150万円という高額で落札されました。馬主はその名の通りサトミホースカンパニーです。サトミホースカンパニーは今でこそ、いわゆるセレクトセールでの「爆買い」は行っておりませんが当時は爆買い最盛期でした。その中での購入。サトノダイヤモンド自身はPOG期間2015年11月8日にデビュー。そこからきさらぎ賞(GⅢ)1着となり3連勝。1番人気に推された皐月賞(G1)では3着。東京優駿(G1)2着と惜しい内容ではありましたがPOG馬としては相当良い成績をおさめております。
そこから神戸新聞杯(GⅡ)1着→菊花賞(G1)1着→有馬記念(G1)1着と、サトミホースカンパニー史上最高の成績をおさめた馬となりました。
そして堂々の種牡馬入り。POG期間での注目度も相当なものになるかと思っておりましたが、一般的な報道でも個人的主観としてもサトノダイヤモンド産駒の注目度は低く感じます。同じディープインパクトの子としてサトノダイヤモンドと同じく2020年産駒が新種牡馬としてデビューとなるリアルスティールの方が圧倒的に注目度が上である気がします。POGまくれーんブログでもリアルスティール産駒は2022年6月時点で4〜5頭記事にしておりますが、サトノダイヤモンド産駒は今回が初。
完全に個人的主観ではありますが、2020年産駒はサトノダイヤモンド産駒よりもリアルスティール産駒のほうがいい母馬との交配が多いことが挙げられると思います。リアルスティールの2020年産駒は「ロザリンド、リッスン、ポルトフィーノ、アイムユアーズ、マンデラ、バランセラ、ベルスリーヴ」など耳にした事のある繁殖牝馬との交配が多くあります。それに対しサトノダイヤモンド産駒はあまり目立った繁殖牝馬との交配がありません。
あとは血統構成も関係しているのかもしれません。リアルスティールは母方にStorm cat+Mr. Prospectorを含む超王道のディープインパクトであることに対し、サトノダイヤモンドは母方は南米血統です。
Storm cat+ Mr. Prospector持ちのリアルスティールの方が日本競馬界の各種繁殖牝馬との相性が良いのが多いのでしょう。とはいえ(後で説明しますが)サトノダイヤモンドもDanzigなどディープインパクト産駒成功における良い血統構成であることに変わりありません。
冒頭から長々述べましたがサトノグランツ(チェリーコレクトの2020)の母チェリーコレクトは優秀な繁殖牝馬であり、2020年生まれのサトノダイヤモンド産駒の中でも上位レベルに位置する交配であると考えます。
母チェリーコレクトについて
母チェリーコレクトはイタリアオークス(GⅡ)馬です。日本国内でも優秀な馬を輩出しております。記憶に新しいのがハーツクライ産駒のワーケアです。
ホープフルステークス(G1)3着、弥生賞2着といい成績を残すことが出来ております。
実際の母チェリーコレクトが勝ったイタリアオークス(2012年。距離2200m)の様子を見ることにしましょう。
道中中断に付け最後の直線で最後までじわりじわりと伸び続けての勝利。生まれてくる子にはその根性が受け継がれているものと思われます。母チェリーコレクトの主な成績は以下のとおりです。
馬体
サトノグランツ(チェリーコレクトの2020)の1歳時馬体
サトノグランツ(チェリーコレクトの2020)の1歳時馬体ですが、第一印象としては「細い」「よく見えない」と思ったのが正直な所です。首が特に細く全体の印象を押し下げているように思えます。非力に見えます。
各部分において見ていくと、まずトモですが丸みを帯び筋肉質であります。あとは管囲についてセレクトセール馬であるため数値はありませんが細くは見えません。全体的な印象としてはどうしても細さが際立ち良いとは思えません。正直POGまくれーんブログとして記事化しなかった理由はこの馬体にあります。
セレクトセール2021の1歳馬セッションでの映像を見ていきましょう。3時間1分から開始します。
このセレクトセールの映像を見るたびに毎回感じることですが、サトノグランツ(チェリーコレクトの2020)においてもこの映像のほうが断然よく見えます。首の細さの印象は払拭され、馬体後方からの見た目は体の厚みすら感じさせます。落ち着きもありますのでこれは期待しても良いと考えます。
他チェリーコレクトの輩出馬との比較
それでは他の母チェリーコレクトの子との馬体比較を行います。
◾️エリカコレクト
∟父:ハーツクライ
◾️クロンターフ
∟父:ディープインパクト
◾️ダイアナブライト
∟父:ディープインパクト
この3頭との比較ですが、サトノグランツ(チェリーコレクトの2020)とは馬体が違いすぎて意味がないのかもしれません。
この3頭の中でPOG期間もっとも活躍したのはクロンターフです。1勝クラス勝利を含めた期間2勝。クロンターフはバランスの取れたいい馬体です。強烈な印象はないもののバランス、トモ、前足、腹回りなど全てが及第点というところでしょう。
馬体の見栄えで言えばエリカコレクトはいいです。トモの迫力がアンバランスささえ感じさせるほど全体的に筋肉質な馬体です。ただPOG期間は1勝止まり。エリカコレクトは「国枝厩舎×牝馬×ワーケア全妹×1歳時馬体の良さ」と好条件が重なった馬でしたが実績は残念なものでした。兄弟間ではどう評価すべきか答えは出せないというのが正直な所であります。
サトノダイヤモンド産駒との比較
2022 年6月4日にサトノダイヤモンド産駒として初勝利をおさめたダイヤモンドハンズの馬体を載せておきます。
◾️ダイヤモンドハンズ
ダイヤモンドハンズですが、POGまくれーんブログではPOG推奨馬として取り上げませんでした。厩舎のことを筆頭としてサトノダイヤモンド産駒の成功のイメージが付かなかったことが理由として挙げられます。
ダイヤモンドハンズは馬体は良いですが強烈な迫力は感じません。トモについては若干の薄さを感じます。サトノダイヤモンド産駒ですがもしかすると成長力があるのかもしれません。ダイヤモンドハンズは「1歳時462kg→募集時2歳春時点520kg→新馬戦2歳6月時点498kg」という馬体重推移でした。2歳時のダイヤモンドハンズの馬体写真が手に入りませんでしたが別物のように成長していたように思えました。
父サトノダイヤモンド自体の1歳時馬体写真があれば推移を見ることが出来るのですがそれがありません。一旦サトノダイヤモンドの2歳時春時点での馬体を記載しておきます。
◾️サトノダイヤモンド
何度見てもサトノダイヤモンドは素晴らしいです。ほぼ完璧な馬体と言えます。最終的にサトノグランツ(チェリーコレクトの2020)の馬体がこうなれば(これに可能な限り近い馬体になれば)最高です。
血統
サトノグランツ(チェリーコレクトの2020)の血統表
◾️サトノグランツ(チェリーコレクトコレクトの2020)
∟父母間クロス:Danzig5×4、Lyphard5×6
サトノグランツ(チェリーコレクトの2020)の血統表はこの通りです。
5代血統表表記であるためこの時点では記載出来ておりませんが、母チェリーコレクトには6代目にLyphardが存在します。
◾️母チェリーコレクト
記載の通りです。6代目にLyphardが存在します。POG期間におけるLyphardクロスが成立している馬の威力は以下記事で表現しております。
母チェリーコレクトがハーツクライ産駒として成功したのは、Niniskiの配合があることが理由として言えるでしょう。ハーツクライ×母Niniski配合はサリオスやダノンベルーガなど成功例が多くあります。また母チェリーコレクトにはDanehill(デインヒル)からのDanzig配合があり、これがまさにディープインパクト産駒クロンターフにPOG期間2勝をもたらしたものと思われ、まさに両刀使いといった配合であります。
こういった好材料が備わった状態からのLyphardクロスですので、サトノグランツ(チェリーコレクトの2020)の血統配合としてはこれだけで既に推奨に値するものと考えます。
サトノダイヤモンド産駒の血統における成功配合を考える
前項で既に「サトノグランツ(チェリーコレクトの2020)の血統配合はPOG馬として推奨に値する」と述べはしたものの、「サトノダイヤモンド産駒の良い配合は?」という疑問は残ります。
当記事をまとめている2022年6月時点では成功例がダイヤモンドハンズしかないため根拠ある答えを出すのは至難を極めます。2022年6月時点では一旦以下結論を記載しておきます。
まず見るべきは父サトノダイヤモンドの配合でしょう。
◾️サトノダイヤモンド
∟父母間クロス:Halo3×5×4、Northen Dancer5×5×5
サトノダイヤモンドですが、改めて確認すると非常に興味深い血統構成だと思いました。まさにクロスのお祭り状態であります。
まずHaloクロスです。ディープインパクト産駒でもここまでHaloが父母間で多重クロスが成立している馬はいないのではないでしょうか。しかも母方はサンデーサイレンスからではなくDevil’s Bagとサザンヘイローからとしっかり別路線からのHaloクロスを成立させております。
更にはDanzigの配合です。ディープインパクト産駒でDanzig配合の成功例はもはや常識的とも言える配合です。代表的なところで言えばジェンティルドンナやダノンプレミアムがそれにあたります。
ただ「種牡馬になったディープインパクトの子」の中に意外にもDanzig配合の馬がいないのです。確認する限りミッキーアイルのみがDanzig配合のあるディープインパクトの子の種牡馬です。
既にデビュー済みのキズナ、エイシンヒカリ、リアルインパクト、トーセンラー、ディーマジェスティ、サトノアラジン、ワールドエースにもDanzig配合は無し(ジェンティルドンナは牝馬)。今年から登場するリアルスティールにもその血はありません。そのため今回以下仮説を立てます。
【仮説①】ミッキーアイル産駒のような 父母間Haloクロスが狙い目である可能性
POGまくれーんではミッキーアイル産駒の記事を何度か作成しております。その中でミッキーアイル産駒が「父母間Haloクロスが有効である」と解説しております。以下記事をご覧下さい。
同じ「父ディープインパクト×母馬Danzig配合」の種牡馬であるミッキーアイル産駒が成功した配合「父母間Haloクロス」をサトノダイヤモンド産駒で追うのは一つ有効な手と考えます。ミッキーアイル産駒でHaloクロス成功馬はメイケイエール、ナムラクレア、デュアリストなどが挙げられます。
前述の通り、サトノダイヤモンド自体がHalo配合が多数あるためあまりにも多重化することがかえって悪影響というご意見もあるかと思いますが、私はこの点追ってみたいと思います。
【仮説②】Danzigクロスが狙い目である可能性
これはどこの血統評論家も言われておりますが、サトノダイヤモンド産駒は父母間Danzigクロスが良いという可能性はあると考えます。ダイヤモンドハンズが早速それを証明してくれました。
◾️ダイヤモンドハンズ
∟父母間:Danzig5×5
この通り父母間Danzigクロスが成立しております。ミッキーアイル産駒のメイケイエールもDanzigクロスは成立していた馬です。
このサトノダイヤモンド産駒成功における血統配合として【仮説①:父母間Haloクロス】、【仮説②:父母間Danzigクロス】の2点仮説を立てました。それに対し今回の推奨馬サトノグランツ(チェリーコレクトの2020)は【仮説②:父母間Danzigクロス】に該当します。
とはいえ、この仮説①②の要素だけでは不十分でしょう。ディープインパクト産駒は父母間Northen Dancerクロス、母馬にMr. Prospector、Deputy Minister、Nureyev、Sadler’s Wells、Nijinskyなど多くの配合成功例があり、そういったものを先ほどの仮説①②の下支えとして並行して考慮し検討していくと良いと考えます。
今回はここまでです。
当記事を作成したのが2022年6月。来年2023年5月にこの理論が通じていることを祈ります。
コメント